ベレーザ編その3

このグラフをご覧ください.ベレーザのホームタウン平均入場者数とビジター動員力の推移です.ホームタウンで平均入場者数が減少しているのに,ビジター動員力は高くなっています.

f:id:Benny:20050915010333j:image

ここでビジター動員力について,具体例で説明します.下記の2004年度のベレーザのビジター戦の入場者数をみてください.

2004年度ベレーザ ビジター入場者数
日付 ホーム チーム 会場 入場者数 ベレーザ
以外の平均
比率
6月20日 FC高槻 高槻市萩谷総合運動公園サッカー場 240 712.5 0.3
7月4日 レイナス 駒場スタジアム 1592 891.8 1.8
9月19日 大原学園 南長野運動公園 総合球技場 1800 245.0 7.3
10月3日 YKK AP 宮城スタジアム 572 520.5 1.1
10月17日 伊賀FC 上野運動公園競技場 300 325.0 0.9
10月31日 TASAKI アスパ五色 500 800.0 0.6
7/4のレイナス戦の例では,1,592人集まりました.その横の「ベレーザ戦以外の平均」は2004年度のレイナスホームタウンの試合のうち,対ベレーザ戦を除いた平均入場者数を表します.これが891.8人でした.「比率」は「入場者数」÷「ベレーザ戦以外の平均」=1,592÷891.8=1.8 となります.つまり,ベレーザ戦は普段の1.8倍の入場者数があった,と考えます.この「比率」を各チーム毎に計算し,平均したものを「ビジター動員力」と名付けました.今年度は現時点で下表のようになっています.

2005年度ベレーザ ビジター入場者数
日付 ホーム チーム 会場 入場者数 ベレーザ
以外の平均
比率
4月17日 FC高槻 高槻市萩谷総合運動公園サッカー場 600 314.4 1.9
4月29日 TASAKI 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 2373 374.7 6.3
5月3日 浦和 さいたま市駒場スタジアム 3,466 1,542.2 2.2
6月12日 湯郷ベル 岡山県美作ラグビー・サッカー場 2493 1,375.2 1.8
7月3日 伊賀FC 上野運動公園競技場 320 396.0 0.8
7月16日 マリーゼ Jヴィレッジスタジアム 2583 2,652.5 1.0
今年の浦和レッズの例では「比率」=「入場者数」÷「ベレーザ戦以外の平均」=3,466÷1,542.2=2.2 となります.レイナス時代も浦和レッズになてからも,ベレーザ人気(?????)は健在のようです.

ビジター動員力の動きを見ると,地元よりも対戦相手のホームタウンでベレーザの人気(?)が高くなっていることになります.全国的に知名度の高い選手の多いベレーザ戦に観客が集まるのは理解できます.しばらく前にご紹介したようにTASAKIは絶好の日程と天候に恵まれ,ピンポイントで通常の5倍近い動員を実現し,浦和はスーパーカップの雪辱を期して,現時点で今季最高入場者数を記録しています.何故地元の動員が伸びないのか,不思議なところです.地元ファンにとって対戦相手に魅力がないのでしょうか.もう頭打ちなのでしょうか.

L1でチーム名に企業名が含まれているのはTASAKIマリーゼベレーザです.L2には大原学園があります.このうち,TASAKIマリーゼは自社の広報的な意味合いが強いと思います.大原学園は自社の広告でしょう.日本テレビにとって,ベレーザはどういう意味があるのでしょう.

プロ野球の巨人が読売新聞の広告塔である,というのはよくいわれることで,Jリーグ発足当時,ベルディを同様に扱いたい読売新聞社とJリーグとの間に確執がありました.紆余曲折を経てベルディはチーム名から読売の名がはずれ,広告としての価値が下がった影響か,グループ会社の日本テレビに移管されました.現在,Jリーグと同じ運営母体を持つLリーグのチームは,浦和,新潟,千葉市原,ベレーザと4チームあります.ベレーザだけは「東京」と呼べません.頑固というか,日本テレビはJリーグの理念に賛同しているわけではないようだ,というのが見え隠れします.「もしもFC東京がLリーグに参入したら」ということを想像すると,ベレーザが地元へ浸透することは非常に困難なのかもしれません.しかしベレーザにはベレーザの歴史がありますから,そのことはとやかく言うことではないのかもしれません.

注目すべきは,ベレーザにはニチレイというナショナルブランドがスポンサーとしてついている.ということです.

  • 同じ広告料を支払うとして,湯の郷Belleとベレーザ,どちらが広告媒体として魅力的でしょうか.より多くの人の目に触れる可能性が高い,ということでベレーザのほうが優れているように思います.
  • TASAKI日本テレビのどちらが広告媒体として魅力的でしょうか.広告媒体が本業の日本テレビのほうが,素直に受け入れられると思います.
  • 昨年のレイナス日本テレビのどちらがスポンサーになりやすいでしょうか.日本テレビのほうが,広告塔として割り切って利用できるように思います.

ベレーザにとってはこれ以上の地元への浸透よりも,より多くの会場で試合を行いより多くマスコミに露出することが,自らの広告価値を高くするうえで重要なことだと思います.どんなに伊賀に熱心なファンがいても,同じ人(固定ファン)にアピールするだけでは広告効果は小さいと思います.
ベレーザは,広告媒体として立派にスポンサーに貢献していると思います.もし他のLリーグチームがスポンサーを求めるならば,いかに広告媒体として優れているかを示さなければなりません.

サッカーのクラブチームの先駆けとして,読売クラブの功績は大きいと思います.また,読売グループの力も大きいと思います.そして今のベルディがあります.
ベレーザは何処へ向かうのでしょう?


=== 続く===